今回は、茶道でかかる経費について、少し書いてみたいと思います。
着付けなどを習っていて、ご自身あるいはお宅にお着物がある方は、簡単に茶道に参加することができます。ベースが着物であれば、和風な習い事はすべてOK、といってもよいのではないでしょうか。
うらやましいと思います。
よく、お茶会のお客様の中に、スーツ姿の男性がいらっしゃることがあります。これは、アリです。
お稽古で、洋服で習うことがあります。これも、アリです。
しかし、ある程度茶道を習った場合、「あなた、そろそろお茶会で点ててみない?」と誘われます。先生からそうおっしゃっていただけるのですから、断れるわけがございません。「いえいえいえいえいえいえ!まだまだ、私なんてムリムリムリです!」と言ってみたとしても、逃げられないでしょう。
このような立場になった男性が、お茶会で洋服で点てる、まあこれもないことはありませんが、参加した方にとってはものたりないかもしれません。できれば、着物で点てたい、着物で点てる男性を見たい、というのが心情でしょう。
そうなると、着物を持っていない男性はどうすればいいのでしょうか。
借りるしか、ありません。
私もいろいろ探してみましたが、お茶会でお茶を点てる男性向けの着物のレンタル、というのはありませんでした。
するとですね、お知り合いやお稽古仲間、あるいは先生からお借りするわけです。当日、誰かに着せていただくというスタイルです。これは結構「お手数をおかけいたします」という、恥ずかしさを伴います。私も何度もお借りしたことがありますが、そのたびに「自分でも着物がほしい」と思います。
しかし、狭い部屋に妻と暮らす身では、着物を保有することはなかなか容易ではありませんでした。
身近な誰かにお借りする場合、
(1)その方へのお礼(数千円)
(2)返却する際のクリーニング代(数千円)
がかかります。これに、お茶会参加費が数千円かかりますから、一度のお茶会で万は超える、というイメージですね。
(2)が結構高い!仕方がないことですが、着物のクリーニングは高い。
いたいなぁと思いながら、着物を着て薄暗い茶室で濃茶を点てるのは、ゾクゾクする時間と空間を味わえます。なんですか、あれは。あの「見られてるのが気持ちいい」とか、「お客様とのやりとりが楽しい」とか、「高価な道具を使える」とか、「お点前のプロセスがうまくいくと絶頂」みたいな経験ができるなら、万を超える出費もまあありです。
しかも、失敗してもいいからどんどんお茶会で点ててみると、確実にレベルアップします。
そのような、茶道教室に参加することでしか味わえないかもしれない体験も、まあいいものです。茶会に慣れている方のたしなみやふるまい、言葉遣いは勉強になります。ああ、自分は茶道をやっているのだという実感が芽生えます。
しかし、あなたの、その部屋でも茶道絶頂は訪れます。
晴れた休日の午前中、カーテンを少し閉めて、自分の部屋で薄茶を点てて、昨日買ってきた和菓子を食べてみる。それもいい時間ではないでしょうか。